ねんどアニメを作ろう


はじめに


最近は映画やテレビのコマーシャルなどでよくクレイアニメが使われるようになりました。ほのぼのとした温かさに親しみを感じますよね。自分でも作ってみたいなと思いますが、あのようなアニメはものすごい数の写真をつなげて出来ているので、なかなか私達のレベルで出来るものではありません。撮影の機材もそれ相応のものが必要になります。粘土自体は必ず誰もが学校の工作などでいろんなものを作った経験があることでしょう。男の子なら車、女の子ならお人形なんか作って自分の手で動かして遊んだものです。はるか遠い昔、イノシシや鹿などの食料を求めて移動していた生活を送っていた私達の祖先が土器を作ることを発見してから、食事のバラエティが飛躍的に豊かになったそうです。食べ物を生で食べるよりは、煮たり焼いたりするほうがおいしいですし、保存がきくわけです。縄文式土器はシンプルな形ですが、機能的で美しいですよね。そのころの人々はおそらく大人も子供も土をいじって土器やお祭りの道具を作ったことでしょう。一番身近にある土を練って焼けば鍋やお守りができるんですから、土って不思議な力があるんですね。現代においては都会に住む人のほとんどがコンクリートの中で土から離れた生活をしていますが、それでも私達の体の中には何千年と土をいじることを続けてきた魂が受け継がれているから、土の温もりに親しみを感じるのではないかと思います。


中身の分からないお買い物


クレイアニメを作ったり紹介したりするサイトはインターネットの世界でも最近増えてきました。しかしアニメーションは容量的に大きいことから、大抵の場合すぐその場で見ることができず、ファイルをダウンロードして持ち帰ってからムービープレイヤーで見るということになります。買い物に行っても商品の名前だけ書いてあって中身の分からない箱入りの商品は、買おうという気持ちになかなかならないもので、やはりその場で箱の中身を見て、気に入ったら買うというのが普通でしょう。仮に中身の分からない商品を買ったとしても、家に帰って開けてみたら期待はずれだったりするとショックですよね。莫大な容量のファイルをダウンロードしても内容がすばらしかったら良かったなと思いますが、気に入らなかったりしたら、一生懸命に作った作者の方には申し訳ないですけれど、いくら無料でもがっかりするものです。


インターネットの環境


インターネット人口が爆発的に増えてくると同時にインターネットの環境もどんどん良くなっています。私も今はADSLを使っていますが、普通の電話回線でピポパポ、ジージーとやってつないでいた頃には、容量の重たいホームページにアクセスしたりすると、なかなか表示されず、トイレに行って戻ってきてもまだ全部が表示されていなかったりしたものでした。今は少々重たいホームページに行ってもサクサクと表示されるので、とても気持ちがいいものです。そしてパソコンの性能も抜群に良くなりました。ウィンドウズ95で使っていたパソコンはいくつものホームページを同時に開いたりするとよくフリーズしたものですが、今使っているパソコンは3つのアプリケーションを開いて仕事をしながらインターネットで10個ぐらいのウィンドウを同時に開いても平気です。このようにパソコンを取り囲む環境がどんどん良くなっていきながらも新旧のシステムが同時に存在するので、ホームページを作る場合にはいくら最新技術を駆使してかっこよく作ったとしても、見ることが出来ない人がいるということに配慮する必要があります。将来的には誰もがテレビの感覚でインターネットの動画を楽しめるようになるでしょうが、今はその途中の段階であり、これから整備されていくにつれ、クレイアニメもアクセスしたその場で楽しめるようになるでしょう。


ホームページに気軽に使えるクレイアニメーション


インターネットの普及とともにホームページを持つ人が爆発的に増加し、ホームページの数は年々確実に増加しています。それとともにホームページに使う素材を提供する素材集のサイトも毎日どんどん出来ています。現在のところホームページの素材といえば画像ソフトを使ってイラストを描いたり、写真を提供しているのが一般的な形です。どの素材やさんも個性的な素材作りを目指していますが、素材やさんの数があまりにも多いので、似たような素材になってしまうのはしかたのないことなのかもしれません。私はテレビで見るような愛嬌のあるクレイアニメーションを気軽にホームページに使えないかと試行錯誤を繰り返し、やっと素材集としてオープンすることができました。ヤフージャパンもこの素材集がユニークなことを認めてくださり、申請してから一発で掲載していただきました。アクセスが多くて人気のある素材やさんでもなかなかヤフー登録は困難な中で、出来て間もないこの素材集が認めてもらった意義は大きいものだと思います。そこで新しい試みとしてのクレイアニメーション素材がもっと皆さんの身近な存在になって楽しんでいただけるようにとの思いを込めて自己流のいいかげんな技術ではありますが、少しずつ公開していきます。思いついたままに整備していきますので、どうぞ気長にお付き合いください。


粘土


クレイアニメーション作りに必要なものはまず粘土です。粘土はホームセンターや100円ショップなどでも買うことができますし、文具や美術専門店などに行きますと実にさまざまな種類の粘土があります。アニメーションにこだわらなければどんな粘土でも使えますし、私は個人的には出来ないということがきらいなので、なんでもいいからアニメーションは作れるということにしておきましょう。大まかな特徴としては


紙粘土
軽いのが特徴で、チョー軽いふわふわ粘土もあります。白を基本として色の付いたものもあり、時間がたつと硬くなるので、硬くなってから絵の具やニスで着色できます。クレイアニメーションはやわらかい粘土が向いているので、最初から色の付いた紙粘土を揃えるかあるいは白の紙粘土に色粉を混ぜて着色する必要があります。

小麦粉粘土
100円ショップなどで抜き型やローラーまで付いて容器に入った12色の粘土は安い!でも棒状で詰め込まれているので、となりどうしの粘土の色が混ざっていることや、甘いにおいが付いているのがちょっと安っぽいかな。他にチューブに入ったものや袋に入ったものもあります。ふわふわのパンみたいなので思い通りの形を作るのがちょっと難しいです。放っておくと硬くなるのでやわらかいうちに撮影しましょう。

油粘土
ホームセンターやスーパーなどの文具のコーナーで一般的に売られている粘土です。袋から出しておいても硬くならないのでクレイアニメーション作りには向いていますが、緑色しかないので、色をつけるのは難しいと思います。

モデルクレイ
少し値段的に高いですがプロの人も使っているモデリングクレイはべたつかず扱いやすい粘土で、色も12色あり、手でこねて違う色との混色もできますし、65度で溶かして混色できます。ハンズなどの専門店で購入できますし、インターネットでモデリングクレイを検索して出てくるショップでオンライン購入もできます。私もこの粘土を使っています。



100円ショップで買った小麦粉粘土で作ったぶどう~おいしそうでしょ


粘土の取り扱い


粘土にさわる前にはまず手を洗ってください、手には意外と小さなホコリがたくさん付いているものです。ホコリの付いた手で作品を作りますと、作品の表面にホコリがたくさん付着し、それをデジカメのマクロ(近写)モードで撮影すると特に白っぽい作品に付いたホコリはよく目立ちます。私は時々ちぎったガムテープで手のホコリを取ります、パソコンをさわったり、机に触れただけで手には結構ホコリが付いていることが分かります。粘土に目立つホコリが付いてしまったらカッターナイフなどでその部分をそっと削るときれいに取れます。粘土を手で丸める時には例えば赤い粘土を丸めた手で白い粘土を丸めると赤い色が付いてしまいますので、こまめに手を洗うことをおすすめします。


粘土の混色


いろいろな作品を作っていくうちに新しい色がどうしても必要になってきます。2つあるいは3つの色を混ぜ合わせて新しい色を作るわけですが、手でこねて混ぜる場合には指で粘土を中に押し込むようにして、しっかりと混ぜ合わせてください。きれいな色になるにはかなり長い間こね続けることが大切です。他には熱で溶かす方法もあります。私が使っているクレイトーンの場合は65度で溶けるので、アルミホイルのカップなどに粘土を入れてペンチでつかみ、弱火のガスから10センチぐらい離して、そろりそろりとあぶっていると溶けてきますので、割り箸などで混ぜるとよいでしょう。

  
赤とピンクの粘土  →  火であぶって溶けた様子


粘土の保管


粘土の保管に関しては机の上に出したままにしておくと、ほこりがついてしまうので、箱か袋に入れて保管した方がよいと思います。魚釣りのルアーを入れるような整理できる箱が理想的ですが、私は小さいビニール袋に入れて机の上に置いているだけです。ビニール袋だと中身が見えるので案外便利です。


道具


粘土を切ったり伸ばしたり表面をならしたりする道具は文具店などで売っているもので十分だと思います。自分で工夫して作ったり、台所用品で代用してもいいですよ。私が使っているものを紹介します。


へら

ホームセンターで買ったものや100円ショップで買ったもの、そして陶芸用のへらまであります。たくさんあるけれど、いつも使うのは一番下にある小さいへらです。これ一つあれば十分でした。ホームセンターの塗料のコーナーにありました。これ一つで粘土を切ったり表面をならしたりします。
カッターナイフ

小さい部品を切ったり、表面に付いたゴミを取るのに使います。ホームセンターで買いました。私がいつも使っているのは一番下の手術用ナイフです、すごいとんがっていますので、怪我をしないように注意しましょう。これだけはハンズで買ったものです。
こね棒

粘土を平らにならしたり、伸ばしたりするのに使います。なるべく粘土がひっつかないものがいいです。私が使っているものは100円ショップで買いました。
下敷き

カッターで粘土を切っても切れないものがいいです。そして粘土には油分がありますので、紙などの上に置いておくと、油を吸い取られますから、プラスチックみたいな感じのものがいいです。私が使っているのはホームセンターで買った工作用下敷きです。
針とピンセット

小さい部品をつまむのに使います。針はまっすぐなものとガスであぶってペンチで曲げたものを割り箸に細い針金でくくりつけた手製の道具です。
針金とペンチ

針金は粘土の中に通して粘土の型崩れを防いだり、撮影する時の粘土モデルの固定用に使います。結構見えない所で大活躍しています。色の付いているものなら、白の針金がいいです。
粘着テープ

白の粘着テープは撮影時に針金を固定するためのもの、普通の粘着テープはカメラの三脚を固定したり、手に付いたほこりを取るのに使います。
デザインプレート

平らにならした粘土にデザインプレートの例えば丸い部分を強く押し付けると丸い形が押し出されて上に出てきます。それをへらで切り取ると丸いパーツのできあがり。花びらをたくさん作ったりする時に重宝します。


デジカメ


デジカメは基本的には今お使いのデジカメでいいと思います。これから買う場合は次の機能が備わっているものをお求めください。まず近写(マクロ)モードがあること。デジカメによっては焦点距離に制限があるものもあります。この上のデジカメは近写モードでの焦点距離は8~13センチです。普通モードでの焦点距離が80センチからですから、どうしても焦点の合わない距離がありますが、結構活躍しています。また、照明には蛍光灯を使いますので、色調補正に蛍光灯モード(できれば昼光色や電球色などの選択ができるもの)が好ましいと思います。


三脚


三脚は絶対に必要です。パソコンショップで売っている安いものでいいと思います。足の長さは調整できるもので80センチぐらいあれば十分だと思います。特にアニメーション用の画像を撮影する時には動かさないことが大切で、三脚の脚の部分をガムテープで床に固定した方がよいでしょう。


ろくろ


上の三脚の所でデジカメの前方のステージは手回しろくろに白い紙をかぶせたものです。やすらぎ庵の素材にはよく、ぐるぐる回っている素材が登場しますが、このろくろの上に素材を載せて、90度(あるいは45度)ずつ回して撮影したものです。白い紙には鉛筆で分度器みたいな角度のわかる線を引いています。なぜこんなものを持っているかって?それは私は陶芸もするんですよ、近々陶芸のコーナーもオープンさせますので、お楽しみに。


覆い


部屋の中での撮影ですから、覆いがないと後ろのカーテンや壁が写ってしまいます。外からの光を遮断し、照明の光をむらなく素材に当て、極端な影ができないという効果もあります。これは白い発泡スチロールで作ったものです。


照明


おそらく皆さんも照明には一番苦労することと思います。これは最初の頃の写真で恥ずかしくて人様にお見せできるようなものではありませんが、敢えて公開します。というのは、もし始めてみたいという人でも気軽にできる方法をお知らせしたいからです。ただ普通の蛍光灯の傘を取って、ステージの上40センチぐらいの距離にぶら下げているだけです。私も電球やハロゲンライト、屋外の撮影など、いろいろと試してみましたが、時間や外の気象条件などに関係なく、室内で比較的安定して撮影できるのは、蛍光灯(昼光色)が優れていると思います。蛍光灯の形は机で使うような細長いものではなく、丸い形の方が影が出来にくいし、素材に対し、むらなく光が当たり、自然な影も出来ます。全ての光には固有の波長がありますが、蛍光灯の光も特有の波長があります。よく見ているとチラチラとちらついていますよね。これは分かりやすく言うと、短い周期で点いたり消えたりを繰り返しているのですが、私達の目にはいつも点いているように見えます。デジカメで色調補正無しに何枚か撮影してみると、同じ素材でも明るく写っていたり、暗く写っていたりします。これはシャッターを押した瞬間に蛍光灯が点いている時には明るく写り、消えている時には暗く写るということで、カメラはごく短い瞬間を捉えているのです。この蛍光灯の波長の影響は蛍光灯と素材の距離が近づくにつれ強く現われ、蛍光灯と素材の距離が離れるにつれ弱くなりますので、何枚も撮影してみて、一番いい距離を探してみてください。


パソコン


パソコンが必要なのはあたりまえなことでした。デスクトップでもノートパソコンでも、どちらでもいいです。出来れば処理速度と作業領域に余裕のあるものがいいと思います。上は私のPC参考出品です。とにかくでかい、上にちょっとだけ見えているのはミニコンポです、どれだけデカいか分かりますよね。椅子の代りに座れます、性能もすごすぎます。


タブレット


タブレットはあった方がいいですね。でも無くてもかまいません。マウスはもう全く使わなくなったので、机の引き出しにしまってあります。左がキーボード、右がタブレットです。


画像加工ソフト


上は私が使っている画像加工ソフトのフォトショップですが、これは最近の安価なパソコンが買えるぐらいの値段です。画像を加工したりアニメーションを作ったりする分には、ホームページ作成ソフトにも付属していますし、インターネット上で無料でダウンロードできる優秀なソフトがありますので、それで十分です。ただ私はgif形式の画像には配布にあたってGIFの特許問題がありましたので、素材配布サイトとして問題の無いようにとの思いで買いました。CD-ROM一枚だけですが、まあ特許料を払っているということで使っています。機能的にはもちろん、すばらしすぎて、使い切れない機能がありすぎるので、私にはもったいないぐらいです。もちろん画像の加工や修正、あるいは完璧な透過処理、アニメーション作りにと大活躍してくれています。


2ページ 3ページ